一人っ子 相続 大変

一人っ子の相続では他にもめる相続人はいません。
たいてい相続で泥沼にもめるのは兄弟姉妹ですからね。
※もめる原因はその配偶者が口を出すからのことも多い。
ですから一人っ子の相続はもめないから楽だ?なんて思われがちです。

しかし、現実は一人っ子の相続は大変なのです。

なぜなら、一人っ子の相続では全部自分で判断して行わなければなりません。
相談できる兄弟姉妹はいません。
一人っ子だからこそ、相続のことをしっかり理解して準備が必要なのです。

今回は一人っ子の相続についての注意点を紹介しておきます。

母を亡くす平均年齢は46.4歳

母を亡くす平均年齢
母を亡くす平均年齢は、46.4歳です。
これは、第一生命経済研究所が行った「中高年者の遺産相続に関する調査」によるところです。

調査によると、母親を亡くした人の年齢別割合は、以下のようになっています。

・ 50歳以上:50.0%
・ 40代:24.8%
・ 30代:13.2%
・ 20代:7.0%
・ 10代以下:5.0%



このように、母親を亡くす人は、50歳以上が最も多く、半数を占めています。
これに比べて、父親を亡くす平均年齢は39.1歳と、母親を亡くす平均年齢よりも10年近く早くなっています。

たとえ子供が50歳でも母を亡くす覚悟はまだできていない

子供が50歳になっても、母を亡くす覚悟はまだできていないことは、珍しいことではありません。
なぜなら、母は子供にとって最も大切な存在の一人であり、その存在は子供の人生に大きな影響を及ぼします。

確かに50歳という年齢は、子供自身も人生の折り返し地点に差し掛かり、親の死を現実的に考え始める時期でもあります。
しかし、親の死を受け入れることは容易ではありません。

たとえ子供が大人になっていても、親を亡くすことは大きな悲しみであり、喪失感に苦しむことは避けられないのです。

母への強い愛情と依存

子供にとって母とは。愛情を注ぎ、育ててくれた存在であり、強い愛情と依存心を持っている場合が多いです。
そのため、母の死は大きな心の支えを失うことであり、深い悲しみと喪失感に襲われます。

親孝行を十分にできなかったという後悔の念

子供はみんな、親に対して十分に親孝行できなかったという後悔の念を抱えてしまいます。

母の死が現実に近づくと、その思いがさらに強くなり後悔と罪悪感に苦しみます。

母の死後の生活への不安

母が亡くなると、子供は強烈な孤独感を感じたり、将来への不安を抱えることがあります。

特に、一人っ子の子供にとって母の死は大きな心の支えを失うことになり、不安がさらに大きくなります。

死を受け入れる心の準備ができていない

頭では、死は誰にとっても避けられないことはわかっています。
しかし、それが自分の親となると、親の死を受け入れる心の準備は簡単ではありません。

50歳という年齢でも、母を亡くす覚悟ができていないことは、決して恥ずかしいことではありません。
大切なのは、自分の感情を受け止め、時間をかけて悲しみと向き合っていくことです。

一人っ子だからこそ辛い母ロス

母ロス 一人っ子

一人っ子の母ロスは相当な大きな精神的ダメージが襲います。
父親が亡くなった時には一人っ子の子供と母親が二人でその悲しみや寂しさを分け合うことができました。
しかし、片親になった母親が亡くなった時には一人っ子の子供はたったひとりだけでその悲しみと立ち向かわなければなりません。

一人っ子の母ロスが相当に辛いものなのです。

母ロスを経験した一人っ子だからこそ、さまざまな感情が生まれます。
まず、深い悲しみや強い喪失感です。
母親は一人っ子にとってかけがえのない存在であり生活の中心であったことでしょう、
一人っ子の子供からすれば、母親がいてくれるだけでその安心感や愛情を提供してくれる存在です。
だからこそ、その喪失は非常につらく感じてしまいます。
一人っ子は親がいなくなったことによる寂しさに耐えられなくなります。

さらに、母親が亡くなったことによって一人っ子は自己同一性やアイデンティティについての混乱を経験することもあります。
母親は一人っ子の個人的な成長やアイデンティティ形成に大きな影響を与える存在です。
母親の死によって、一人っ子は自分自身を再定義し、新たなアイデンティティを見つける必要が生じるかもしれません。

一人っ子は家族の変化により、母ロスに直面します。
母親がいなくなることで、家族の関係性や役割分担にも大きな変化が生じます。
一人っ子はこれらの変化に適応しなければならず、新たな役割や責任を担うことも求められるかもしれません。

一人っ子の母ロスを克服するには

母ロスを克服するためには、時間と感情の処理が必要です。
一人っ子は悲しみを受け入れ、感情を表現する場を持つことが重要です。
また、家族や友人、専門家などのサポートシステムを活用することも役立ちます。
悲しみを共有し、サポートを受けることで、一人っ子は少しずつ母ロスを乗り越えていくことができるのです。

一人っ子だからこそ、母親の思い出を大切にし、彼女の存在を心の中で永遠に持ち続けることも重要です。
母親は一人っ子の生活において特別な存在であり、彼女の愛と影響は一生忘れることはありません。
母親の存在を尊重し、彼女の思い出を胸に抱えながら、一人っ子は新たな人生へと進んでいくことができます。

残された片親と一人っ子との相続

片親と一人っ子の相続
相続では「一次相続」と「二次相続」があります。
「一次相続」とはまず両親のどちらかが亡くなった時に相続です。
「二次相続」とは残された片親が亡くなった時の二回目の相続です。

一次相続において、相続人はその配偶者である片親と一人っ子の子供の二人だけです。
典型的な例では、母親と子供1人でしょう。
この場合の法定相続割合は
・母親 1/2
・子供 1/2

となります。

まあ、二人だけで他に相続人もいないんだから・・・
そんな理由で相続手続きを放置してしまう一人っ子の方がほとんどです。
しかし、これが後で大きな問題になることもあることも知っておいてください。

相続税がかかるくらいの遺産がある場合は、弁護士や税理士からのアドバイスがあるかと思います。
しかし、今の日本で相続税を払わなければならない人はわずか7%程度と言われています。
ほとんどの方が相続税基礎控除の範囲内の相続なので相続税は関係ない人たちばかりです。

相続税基礎控除
3000万円 + 法定相続人×600万円
母親と一人子の子供の場合
3000万円 +(600万円×2)=4200万円
基礎控除内の遺産相続では相続税はかかりません。

実家など不動産がある場合

相続税がかかる程の遺産相続の場合、一人っ子の子供が相続するよりも片親になった母親が相続するほうが有利です。
なぜなら相続税を安くできる「小規模宅地の特例」等の軽減措置が利用できるからです。

小規模宅地の特例
「小規模宅地等の特例」とは、相続した土地の相続税評価額(相続税を算出する際に基となる評価額)を最大80%減額できる制度です。
たとえば、土地の相続税評価額が5,000万円だった場合、この特例を使うことで1000万円にまで引き下げることも可能です。
※ただし、適用には条件がありますので要注意
※特例適用には申告が必要です。



しかし、現実問題としてほとんどの方に相続税のことは関係ないことでしょう。
相続税基礎控除内の遺産相続がほとんどだからです。

そして遺産といえる財産のほとんどが実家などの不動産の場合は要注意です。
きちんと相続手続き(相続登記)を行っていないと、ずっと母親と一人っ子の子供との共有財産の状態のままなのです。

このことが問題になってくるのは、残された片親の母親に介護が必要になってきた時です。

そもそも、その実家は残された片親がひとりで住むには広すぎではありませんか?
これからの介護を考えたら、住み難いのではありませんか?

もしも「母親に手厚い介護を受けさせるために、良い(高い)老人ホームに入れてあげたい」と考えた時にその実家を売ることができない場合もあります。
なぜなら、高齢の母親が認知症になっている可能性があるからです。
今はこのあたりが相当うるさくなっていて、所有者が高齢者の不動産売却に支障が出ることも少なくありません。
そのために成年後見人制度というものがあるのですが、これがとても使い勝手が悪い制度なのです。
※成年後見人をつけたからといって実家が必ずしも売却できるとは限りません。
 さらに一度成年後見人を付けるともう外すことはできませんし、毎月数万円の報酬も払い続けなければなりません。

多くの方が「親の年金で入れる老人ホーム」を探されます。
はっきりいって「親の年金程度で入れる老人ホーム」にろくな所ではありません。
手厚い介護を提供できる老人ホームはそれなりの費用がかかるものなのです。
年金 + 5万円~10万円 これだけでも捻出できるのであれば老人ホームを選ぶ選択肢はぐっと広がります。
しかし、家はあるけど金はない親がほとんどなのです。
そこで、実家の売却もやむなしというケースの備えて一人子の子供の単独名義が役に立つのです。

将来、母親が存命中に実家の売却もあり得るかもしれない?
そんな場合は、実家の登記名義人は相続登記を行って実家の名義を一人っ子の子供の単独名義に変えておきましょう。

また、場合によっては片親の母親が亡くなった時の遺産分割協議で最終的に相続人は一人っ子の子供ひとりだとしても手続きが面倒になることがあります。

《ひとり遺産分割が可能な場合》
亡父→→子供 と、母を飛ばして相続登記が出来る
《ひとり遺産分割が不可能場合》
亡父 2分の1 → 子供
亡父 2分の1 → 亡母 →もう1回→ 子供

一人っ子の相続手続き

一人っ子 相続 手続き

相続手続きの流れや必要書類は、一人っ子の場合も他に兄弟がいる場合も変わりはありません。
一人っ子の相続手続きで相続人が一人っ子のみの場合は、遺産分割協議書は不要です。
しかし、前述のように一次相続で相続手続きが未完了の場合は相続人が複数人となり、遺産分割協議書作成が必要です。
一人っ子の相続手続きには、
・戸建てやマンション、土地などの不動産登記の名義変更の手続き
・相続税の納付
・銀行講座預金の解約

などがあります。

相続手続きで必要な書類の代表的なものは以下の通りです。
・亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
・亡くなった人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票の写し(相続人の住所を記載する場合)

子供は意外と親の過去のことは知りません。
どこで生まれ、どこに引越し、どんな暮らしをしてきたか?
相続手続きで意外な親の過去がわかるのも、また面白いものです。

私が経験した衝撃的な事例は「ずっと自分は一人っ子だと思ってきたが、一人っ子ではなかった」ということもありました。
※亡くなった親の戸籍謄本で過去に認知したこともがいた

このあたりは司法書士など相続手続きの専門家の力を借りるとよいでしょう。

一人っ子の相続放棄

一人っ子 相続放棄

一人っ子であっても相続放棄はできます。
遺産相続する財産でプラスの資産(預金や不動産など)とマイナスの財産(借金など)をトータルで考えて判断しなければなりません。
相続によって親の多額の借金を背負うはめにならないように、プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合には一人っ子でも相続放棄するほうが有利だといえます。

相続放棄は、親が亡くなってから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し出を行わなければなりません。
手続きも比較的簡単で、家庭裁判所d芽生教えてくれるので自分でやることも十分可能です。

ただし相続放棄を行うと、最初からその相続人がいなかったものとして再度法定相続人が定まります。
一人っ子が相続放棄した場合、子供がいないケースの相続と同じになり叔父や叔母など親の兄弟姉妹が新たに法定相続人になります。
ですので、叔父や叔母も相続放棄の手続きを行ってもらうようにしなければなりません。

一人っ子の実家の相続

一人っ子 実家 相続

一人っ子の相続で一番大変なのが「実家の相続」だと思います。
一人っ子だからこそ
・親ロスの悲しみ
・実家の片付けの大変さ

には心fが折れてしまうのも仕方ありません。
しかし、そのまま実家を放置していると後々がもっと大変になります。

放置され空き家の実家はご近所さんも大迷惑なんです。


【放置された空き家はご近所さん大迷惑】

独身の一人っ子が死亡した時の相続人は?

独身 一人っ子 死亡した時の相続人
では、その一人っ子自身が死亡した時の相続はどうなるのでしょうか?

実は一人っ子で独身で亡くなった場合、法定相続人はいません。
そうなると、その一人っ子が残した財産は国庫に帰属することになります。

手続き的には、まず弁護士などが相続財産管理人に選任され、借金等の返済や特別縁故者への財産分与等が行われます。
借金もない
特別縁故者の申し出もない
そうなって法定相続人のいない独身で亡くなった一人っ子の遺産は国庫に帰属する手続きがとられます。

一人っ子の相続は大変だから


このように一人っ子の相続は大変ですし、決して楽ではありません。
だからこそ、きちんと理解して相続に備えなければならないのです。

あなたが一人っ子なら、きっとその相続の大変さに心が凹むことでしょう。
しかし、お父さんやお母さんから一心に愛情を受けてきた一人っ子だからこそ立ち向かわなければなりません。
どうか頑張ってください!